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雨の日の午後、カフェテリアにて。

イギリスで食べたホームメイドのスコットランド風のバター・スカッチ・クッキーが、お茶(紅茶)に良く合う感じで好きでした。

若い時に同棲していたスコットランド人の彼女との間に生まれた娘に会いに2度ほどロンドンに行った事があるんです。
娘のシャーリーが14歳の時と、そのあと、彼女の結婚式に出席した時と2回行きました。

アイリーンが、日本人との結婚に反対な父親に連れ戻された時に妊娠していてイギリスに帰ってからシャーリーを出産したんです。
だから僕にとって、彼女が14歳の時が初めての親子の対面でした。その時にアイリーンが自分で焼いたクッキーを出してくれました。

シャーリーも初めの頃は「あなたが私のパパなの?」とか言って少しビックリしてましたし、お互い照れくさくて少し他人行儀でしたが、2週間のロンドン滞在中、毎日どこかに案内してくれて、いつの間にか『パパ』と僕の事を自然に呼ぶように成っていました。

アイリーンとは別々な道を歩く事になって、お互い別な人と結婚しましたが、ケンカ別れした訳ではないので、彼女と暮らした日々は『若き日の良い想い出』として僕の心の中にずっと残っています。

クッキーを食べたり、たまに紅茶を飲むと、シャーリーと歩いたロンドンの町並みとか、アイリーンと暮らした東京での日々を想い出します。
僕が20歳の時から25歳か26歳の時までがアイリーンと1緒に過ごした時間でした。

普段、僕はコーヒーしか飲まないんですけど、雨の日にはサンボルス百貨店のカフェテリアに行って、ブリティッシュ・ティを頼んだりします。
雨の日は何故か、過ぎた日を懐かしみたくなって、この店の窓際の席に座ります。

窓硝子の向こうには、当時の僕たちと同じくらいの年格好のカップルたちが歩いています。
出されたティー・カップの紅茶の中にアイリーンの顔が微笑んでるような気がして胸がしんみりしました。

『少し困ったような控えめな笑い方』が印象に残っています。
日本人の愛想笑いとは少し違う感じで上手く言えないんですけど、少し困ったような笑い方を良くしてました。
スペイン人やアメリカ人みたいな豪快でストレートな笑い方はしなかったです。
英会話学校で働いていて僕より2つ年上の大人しい人でした。

『喜び』とかの感情表現も控えめな人でしたけど、特に『怒り』とか『不快感』などの感情を自分の中で抑制して外に出す場合には、かなり薄めた控えめな表現にして相手の気持を傷つけないように言葉を選んだり、言葉を濁したりする感じの人でした。
こう言う点はアメリカ人やスペイン人とすごく違う感じで、むしろ日本人に近い感じがします。

彼女の父親に会う為に2人でスコットランドの彼女の実家の村に行ったんですけど、山や花の色とかが日本の秩父や軽井沢の浅間の山の色に似ていました。柔らかい色の景色でした。

何となく彼女を形作っているバックボーンが分かった気がしました。
相手の育った場所を見れば、その人の事が良く分かります。

彼女も秩父の人たちと同じで外柔内剛で内に強い物を持ってる人だったと思います。

スコットランドの田舎の色は埼玉県の秩父の色に似てました。
先祖の人たちが見て来た景色や色が心象風景と成って、そこに住む人たちの性格(国民性)を作っていくような気がします。

日本もイギリスも花の色が柔らかくて薄い色で、淡い、儚い、控えめな色です。
日本とイギリスは、景色も花の色も人の性格も控えめな気がします。

スペインの向日葵(ひまわり)とかテキサスの黄色いバラのように派手な原色で『どうだ、見ろーっ!』って感じでバーンて言う感じで、花も自己主張が激しい国の人たちは、花と同じで自己主張が強くて、控えめでない人たちが多い気がします。

アイリーンの事で、他に覚えているのは倹約家で地味で、外人らしい派手さがない感じで、そこが当時若かった僕には少し物足りなかった事です。

ある日、ビリヤードの賭け球で勝ったから、何かアイリーンに買ってあげようと思ったんです...
「今日ビリヤードで勝ったから、何か買ってあげるよ。明日、ディパートメント・ストアに行こうよ」
「ユー・ウォン・ビリヤード・ゲーム?」
「うん、勝ったよ、だから何が欲しい?買ってあげるよ」
「ソウダナア...ワタアシ、ショウダァ・バッグ、ホシイデス。コノバッグ、モウ、クラッシュシテマス...」

それで、翌日の日曜日に京王デパートに行ってモスグリーンの渋い色の大きなバッグを買いました。頑丈そうな造りで教材や本を沢山入れても壊れなさそうだとアイリーンも喜んでくれたので、僕も嬉しかったです。
ビリヤードで頑張った甲斐があったと思いました。

買い物をしたあと映画を観て、歌舞伎町のトンカツ屋さんでご飯を食べたりゲームセンターで遊んだりして、楽しかったです。

すると、次の日曜日に彼女が銀行の封筒に入ったお金を出して僕に渡して来たんです...
「コノ、オキャアネデ、モーラ・サイクゥノ、レーシング・パーツ、カテクダサアイ、エイリイ・タウザン、アリマス」と言って、僕が欲しかったYUZOのレーシング・チャンバーを買ってくれたんです。

だから、ケチな人な訳ではなくて、自分の事は切り詰めたり節約しても、人の為にオキャアネ(お金の事、アイリーン用語)を使ったり、意味のあるオキャアネの使い方をする人だったんだと思います。

「ハチマンエン、ビッグ・マニーデシタヨ。ワタアシノ、サラリー、ニジュヨンマンエンデシタカラ。デモ、フェン・ユ・ソウ・ハピイ、ワタアシモ、ハピイ、ナレマスヨ。オキャアネジャ、ナイデスヨ。ウレシイカラ、イイオモイマシタ」イギリスに行った時にチャンバーの話をしたら、彼女は少し困ったように微笑んで、そう言いました。

男でも女でもお金の額じゃなくて自分が嬉しく成るお金の使い方をする事が大切なんだな、と教わった気がします。

男女の間は金より物だと思います。
奥さんや恋人に現金であげるのでなく、物でプレゼントした方がいいと思います。
お金は遣ってしまえば、それまでですが、物は残りますし、たとえバッグやバイクの部品が壊れても想い出は残りますから....
(人との想い出が人生で1番大切な物だなあ)と近頃に成って思うようになりました。

紅茶の中に揺れているアイリーンの微笑みを見てたら軽井沢にバイクの2人乗りで行った事とか、僕のバイト先の喫茶店にアイリーンが毎日、自分の仕事が終わった後に来て、僕の仕事が終わったら池袋までバイクの2人乗りで帰った事とか、色んな事を思い出して、不覚にも涙が出そうに成りました。

こんな時、煙草が吸えない今の時代のカフェテリアがちょっと憎らしい感じです。
カフェテリアの中で煙草が吸えた昔は、いい時代でした。

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